タトゥー・刺青除去Q&A

  • 回答者/伊丹 彰(医療法人社団 天祐会 理事長)

    東京医科大学卒業後、大学病院で皮膚悪性腫瘍、アトピー性皮膚炎、にきびなど、皮膚科全般の臨床経験を数多く積み重ねてきたキャリアを持つ。アメリカのDrオバジのもとでブルービーリング、NU-DERM SYSTEMの正式な研修を積むなど、美容皮膚科に関しても、豊富な経験と実績を持つ。
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1.レーザーによる治療法

レーザーで、タトゥーや刺青を除去することができるのですか?

レーザーで大抵のタトゥーや刺青を取り除くことはできます。ただし、完全にタトゥーや刺青を入れる前の肌に戻すのは難しいです。しかしながら、ピコレーザーが登場したことで、治療後の状態がめざましく改善され、これまでは難しいと言われていた、多色のタトゥー・刺青の除去にも対応できるようになりました。

レーザーを使うことで、どうしてタトゥーや刺青を除去することができるのですか?

特定の色に反応する波長のレーザーを照射することで、タトゥー・刺青の色素に熱を与え、色素を粉砕していきます。細かく砕かれた色素は、マクロファージと呼ばれる、体内に侵入した異物を消化する作用によって、体外に排出されていきます。これを数回繰りかえることで、タトゥー・刺青の色素を取り除いていくのが、レーザー治療になります。

レーザー治療には、どのくらいの費用がかかりますか?

タトゥー・刺青の除去は保険が適用されない自由診療になるため、クリニックによって治療費が異なります。また、タトゥー・刺青の範囲や状態によって、治療方法や治療回数が異なりますので、まずはクリニックでカウンセリングを受けてください。

レーザー治療は痛くないのですか?

ゴムを弾く程度の痛さと言われています。ただし、痛みの感じ方は個人差がありますし、照射する部位にもよっても異なります。痛みがつらい場合は、麻酔クリームなどで対応できます。

レーザーを照射した後の肌は、どのようになるのですか?

レーザーは肌に熱を与えます。そのため、一時的に軽い火傷状態になり、薄いかさぶたができます。照射直後は、軟膏薬やテープを使用して、照射した部位を保護します。かさぶたは、1~2週間程で剥がれます。かさぶたが剥がれた後の肌は、とてもデリケートな状態ですので、肌へのダメージを抑えるため、UV対策が必要です。

レーザーを照射した日は入浴できますか?

当日は患部を濡らさないようにして、シャワー程度にしてください。シャワーの後は消毒をしてください。

レーザー治療の際、傷跡は残りますか?

メスを使いませんので傷はできません。ただし、タトゥー・刺青を入れることで、すでに肌へダメージを与えているため、肌の質感は若干異なりますが、ほとんど目立たない状態になります。ピコレーザーのような新しい機種は、治療時の肌へのダメージが少ないので、治療跡がほとんど分からなくなります。

いろいろなレーザーがあるようですが、どんなレーザーがよいのですか?

皮膚科の分野でのレーザーは、シミやホクロ、脱毛などの治療に使われることが多く、黒へ反応する波長が主流でした。タトゥーや刺青の除去を望む方が増えるにつれ、色素の破砕力が強く、多色に対応できるレーザーが登場しています。色素の取り残しがなく、治療跡のきれいな治療が望む際は、ピコレーザーをお薦めしています。

レーザー治療の場合、きれいになるまでにどのくらいの期間がかかるのですか?

治療期間は、刺青の範囲や色、深さによって異なりますので、一概には言えませんが、 除去するまでには数回の照射が必要になります。肌の回復を待つため、次の照射までには2~3カ月ほどの期間をあける必要があり、これまでのレーザー(QスイッチYAGレーザーやルビーレーザーなど)では、1年~2年はかかると言われていました。 肌へのダメージが少なく、色素の粉砕力が強いピコレーザーでの治療では、多くの場合、半年~1年程で治療が終了しています。

できるだけ早くタトゥー・刺青を消したいのですが。

治療期間を短くするには、ピコレーザーがお薦めです。ピコレーザーは、従来のレーザーに比べて、色素の破砕力がアップしています。そのため、従来よりも治療回数を減らすことができます。さらに、肌へのダメージも少ないため、次の照射への休止期間も短くなります。治療回数が減り、治療間隔も短くなるため、治療が終了するまでの期間が、ぐっと短くなっています。

ピコレーザーは、どうして治療期間が短いのですか?

レーザーを照射する際には、レーザーによるダメージから肌が回復するのを待つため、次の照射までに3カ月ほどの休止期間を設ける必要があります。ピコレーザーは肌へのダメージが少ないため、これまでのレーザー(YAGレーザーやルビーレーザーなど)よりも休止期間を短くすることができます。また、タトゥー・刺青の色素を粉砕するパワーも強いため、1度の治療でのより多くの色素を粉砕することができ、照射回数が少なくなります。休止期間が短縮し、照射回数も減少することで、治療期間が大幅に短縮されています。

ピコレーザーは、これまでのレーザーとは何が違うのですか?

ピコレーザーとは、ピコセカンド(1兆分の1)で照射できるレーザーのことです。従来のナノセカンド(10億分の1)より、パルス幅(照射する時間)が短くなることで、一定時間に照射できる回数が増え、タトゥー・刺青の色素を粉砕するパワーもアップしています。これまでは難しいと言われていた多色のタトゥー・刺青にも対応ができ、肌へのダメージが少ないのも特長です。

多色のタトゥー・刺青は、レーザーでは取れないと聞いたのですが。

従来から使用しているYAGレーザーやアレキサンドライトレーザー、ルビーレーザーでは、赤や黒の色素には対応しますが、その他の色への対応が難しいため、多色のタトゥー・刺青の徐々は難しいと言われていました。しかしながら、色素の破砕力が強いピコレーザーが登場したことで、多色のタトゥー・刺青にも対応できるようになりました。

以前にレーザー治療をしたけれど、消しきれなかったのですが。

従来のレーザーでは、多色のタトゥー・刺青に対応することが難しかったため、十分に色素を除去できなかったケースがあります。色素の粉砕力が強く、多色に対応するピコレーザーが登場したことで、取り残した色素の除去にも対応できるようになりました。

アートメイクも除去することができますか?

タトゥー・刺青と同様、アートメイクもレーザーで除去することが可能です。ただし、顔というデリケートな部分ですので、クリニック選びは慎重に行ってください。

2.手術による治療法

手術をすると、どんなタトゥー・刺青でも除去することができるのですか?

皮膚を縫い合わせる切除法は、広範囲なものでなければ対応が可能です。自分の皮膚を移植する植皮術の場合は、植皮をするための皮膚を採取できれば、かなり広範囲のものでも治療が可能です。

1度の手術で除去できるのですか?

タトゥー・刺青の大きさと術式によります。切除法の場合、小さなものは1度で済みますが、範囲が広い場合は、数回に分けて除去する必要があります。植皮術は、多くの場合、1度の手術で対応できます。

手術の費用はどのくらいになりますか?

タトゥー・刺青の除去は保険が適用されない自由診療になるため、クリニックによって治療費が異なります。また、タトゥー・刺青の範囲によって術式が異なりますので、まずはクリニックでカウンセリングを受けてください。

手術によってタトゥー・刺青を除去した場合、傷跡はどのようになりますか?

切除法の場合は、タトゥー・刺青の大きさと場所によって異なりますが、皮膚を切っているので、線のような傷跡が残ります。植皮法の場合は、移植された皮膚の色が周りの皮膚と色や質感が異なりますし、皮膚をつないだ部分に傷跡はできます。いずれも、治療直後は目立ってしまいますが、年月をかけて少しずつ目立たなくなってはいきます。

傷跡がきれいになるには、どのくらいの期間がかかりますか?

施術をした部位や範囲、本人の体質等によって異なりますが、傷跡が目立たなくなるまでには、1年くらいの時間はかかると思っておいてください。手術の場合、傷跡が消えることはありません。

術後に腫れや痛みはありますか?

タトゥー・刺青の範囲にもよりますが皮膚を切り取ったり、貼りつけたりしていますので、1~2週間くらいは腫れがあったり、つっぱるような感覚があります。

術後のダウンタイムはどのくらいになりますか?

タトゥー・刺青の範囲にもよりますが、翌日から日常生活を送ることができ、デスクワークでしたら、術後2~3日で職場復帰が可能です。抜糸までの期間は傷口が開いてしまう危険性がありますので、患部への負担を軽くするようにしてください。軽い運動は1カ月、激しい運動は3カ月くらいは避けるようにした方が良いでしょう。

手術を受ける際に気をつけることはありますか?

傷跡ができるということを考えてください。また、切除術の場合、皮膚を切って縫い合わせるため、バストラインやヒップラインに影響を与えることもありますので、術後の状態がどのようになるかを、あらかじめ確認することも大切です。

3.その他の治療法

できるだけ傷跡が目立たないようにしたいのですが、どんな治療法がよいですか?

手術の場合はどうしても傷ができてしまいますので、レーザーによる治療がよいでしょう。レーザー治療に際しては、色素の破砕力が強く、多色のタトゥー・刺青に対応したピコレーザーによる治療がお薦めです。

タトゥーや刺青を除去するには、どのくらいの費用がかかるのですか?

タトゥー・刺青の除去は保険が適用されない自由診療になるため、クリニックによって治療費が異なります。また、タトゥー・刺青の範囲や色などによって、治療方法や治療回数が異なりますので、まずはクリニックでカウンセリングを受けてください。

タトゥーや刺青除去の治療が受けられないケースはありますか?

妊娠または、妊娠の可能性がある方、ペースメーカーを使用しているなど心臓疾患をお持ちの方、悪性腫瘍がある方などは、レーザーの使用が禁じられています。手術に際しても禁忌事項がありますので、あらかじめ担当医に相談してください。

病院以外で、タトゥーや刺青の除去することはできますか?

人体にレーザーを使用できるのは、医師に限定されています。タトゥーや刺青の除去には高出力のレーザーが必要ですので、クリニック以外での除去は難しいでしょう。