レーザーによる治療法
レーザーには、大まかに色素に反応するものと皮膚の水分に反応するものがあります。
タトゥー・刺青治療で使われるのは、色素に反応するタイプのレーザーで、タトゥー・刺青部分にレーザーを照射することで熱を与え、色素を細かく砕いていきます。レーザー治療は、1回の治療時間が短く、ダウンタイムも短いため、日常生活への負担が少ないのが魅力でもあります。ただし、1度の治療で終えるのは難しく、2~3カ月の期間をあけて、複数回の照射が必要になります。
進化を続けるレーザー機器
注目したいのは、ピコレーザー
タトゥー・刺青の治療で使われるレーザーには、いろいろな種類があります。従来のレーザーは、黒や赤、緑には対応できるけれど、青や黄色には反応できないため、多色のタトゥー・刺青には対応が難しいとされてきました。
そんな中、最近注目されているのがピコレーザー。ピコセカンド(1兆分の1秒)で照射できるレーザーで、従来のナノセカンド(10億分の1秒)よりもパルス幅(照射する時間)が短くなっています。パルス幅が短くなることで、一定時間で照射できる回数が増え、色素を粉砕するパワーがアップ。短い時間で色素を粉砕できるため、肌へのダメージが少なく、ダウンタイムが短くなりました。そのため、除去までの治療期間が、かなり短縮されています。
さらに、青や黄色といった、これまでのレーザーでは難しいと言われていた色にも対応しているので、多色のタトゥー・刺青をしている人や、これまでの治療で取りきれなかったタトゥー・刺青を何とかしたいという人には朗報といえます。
レーザー機器は日ごとに機能が向上しているので、クリニック選びの際は、どんな機器を導入しているかも大切なポイントになります。
タトゥー・刺青治療で使われている主なレーザー
主なレーザー機器の種類
レーザーは、波長やパルス幅などによって機能が異なるため、治療の目的に合ったものが使用されています。
波長とは光の長さのことで、タトゥー・刺青治療においても波長がポイントになります。色素を粉砕するには、それぞれの色の波長に対応できるかどうかが決め手になります。また、波長が長いほど、肌の奥に作用を及ぼすことができます。
パルス幅とは、レーザー機器が光を照射している時間のこと。パルス幅が短いほど、一定時間に照射できる光の量が多くなるので、色素を粉砕するパワーが強くなります。短パルス(マイクロセカンド/100万分の1秒)をはじめ、Qスイッチという装置が開発されたことで、ナノセカンド(10億分の1秒)での照射ができるようになり、最近はピコセカンド(1兆分の1秒)で照射できるレーザーも登場しています。
タトゥー・刺青のような濃い色素の粉砕には、パルス幅が短いレーザー機器の方が、効果が期待できます。
最近注目されている「ピコレーザー」
ピコセカンドのパルス幅で照射できる代表的なレーザーは、主に以下の3機種になります。細かいスペックの違いはあるでしょうが、波長とパルス幅をチェックしてみました。
- ピコシュア
サイノシュア社によるピコレーザー。波長は755nmと532nmの2種。 パルス幅は550~750psに可変。全色に対応しているそうです。 - エンライトン
キュテラ社によるピコレーザー。波長は1064nm、パルス幅は750ps。 - ピコウェイ
シネロンキャンデラ社によるピコレーザー。波長(1064nm)パルス幅(450ps)と波長(532nm)パルス幅(350ps)の2種を搭載。
レーザー機種別の波長と色の関係
ピコシュアレーザーの参考動画
その他のレーザーについて
QスイッチYAGレーザー
イットリウム、アルミニウム、ガーネットの3種類からなるQスイッチYAG(ヤグ)という結晶を用いたレーザーで、タトゥー・刺青除去レーザーとも言われています。波長は1064nmと長く、黒っぽい色素には反応しますが、他の色の粉砕は難しいと言われています。半波長(532nm)のQスイッチYAGレーザーを併用することで、赤系の色素に対応しているところもあります。
アレキサンドライトレーザー
アレキサンドライトという宝石を用いたレーザーです。メラニンに有効な波長(755nm)を出すことで、タトゥー・刺青治療のほか、脱毛やシミ・ソバカスなどの治療にも使われています。
ルビーレーザー
宝石のルビーを用いたレーザーで、メラニン色素の破壊に優れていると言われます。波長(694nm)は短めで、肌の表面に作用します。